個人住宅の建築会社を経営している社長とお話をする機会がありました。創業50年、社員20名の中小企業です。面白いことに、この会社は商圏を9kmに設定しています。車で20分で行ける距離だからだそうです。ですから、お客様は近隣に住む一般家庭です。その近隣の住宅は1000軒ほどしかありません。しかし、驚くなかれ、その内250軒は、この会社が建てたそうです。シェア25%。すごいですね。しかも、隣同士の家を建てることもあるとのこと。建て売りでもないのに、隣同士で同じ建築会社に頼むことは、あまり考えられません。余程、信頼されているにちがいありません。
では、どうしてそんなにお客様から支持をされているのでしょう。何か、秘訣がありそうです。社長の話を聞いてみると、いろいろな秘訣があることが分かりました。その一つが「地域への貢献」です。例えば、こんなことをしています。「地域の祭りへの積極的参加」「祭りの神輿の無償作成」「盆踊りの舞台の無償提供」「町内運動会へのテント提供や玉入れなど用具の作成」「餅のばらまき行事に使う紅白幕の無償提供」「子供工作教室の開催」。つまり、地域のイベントへの参加や開催です。
祭りや行事が盛んになれば、その地域は元気になります。住む人たちの結束力も強くなります。そんな活動をしている会社が、地域で信頼されないはずがありません。この会社は、社員全員で地域の清掃活動もしています。この地域への活動は、決して計算づくではないでしょう。もし計算づくなら、その魂胆はすぐに見透かされます。本気で地域のことを考えているからこそ、やり続けていけることです。決して、お金を出すということではありません。自分たちの労力や技術を提供するということです。これなら、あなたのお店でも出来ることではないでしょうか。
そう、「地域貢献」は、あなたのお店でもできます。例えば、こんなことが考えられます。「地域のスポーツ大会運営のお手伝い」「運動会で早く走るための“かけっこ教室”の開催」「地域のゴミ拾い競争選手権の実施」「子供に教えたい“家族のための野球教室”の開催」「介護施設での健康体操実施のための訪問活動」「運動選手を持つ親のための“料理教室”開催」。地域のためになるなら、何でもいいです。お店の得意なことを活かせると良いでしょう。今まで、あなたのお店は地域によって支えられてきました。地域の人たちが商品を買い続けてくれたおかげで、お店が続けてこられたのではないでしょうか。地域があってのお店ではないかと思うのです。そんな気持ちがあれば、地域貢献をするのは自然なことです。
そして、この建築会社は、電気製品や事務用品など地元で揃えられるものは、地元のお店から買っているそうです。これも、立派な地域貢献ですね。あなたのお店でも出来ます。ぜひ、「地域貢献」とは何か、考えてみてください。