商売は、ノウハウやテクニックだけではうまくいきません。「心」の持ち方も大きく影響します。例えばこんなことを思うことがありませんか?「あの店ばかりが売れて、うらやましい」「わけの分からないクレームを言われて、腹が立つ」「もう少し社員がしっかりしてくれたらいいのに」。
これは、いわゆる「3つの毒」です。中山正和氏の著書「洞察力」によれば、仏教では「3つの毒」が説かれているとあります。その「3つの毒」とは、「ねたむ、怒る、愚痴る」ことです。この3つは、良い人生を歩めないとか、仕事がうまくいかない、といったことにも結びついていきます。ですから、幸せになりたいとか、良い会社にしたいと思えば、「ねたまない、怒らない、愚痴らない」ことが必要なのです。この3つの毒を無くせたら、きっとお店の経営も、もっとうまく行くことでしょう。
そして、私はこの3つの毒に加えて、さらにもう一つの毒があると思っています。それは、「悪口を言う」ことです。今まで、こんなことを言ったことはありませんか?「あの営業マンは、約束を守らない」「あの店は、安売りばかりしている」「あの商品は、品質が悪い」。思い出してみれば、知らず知らずのうちに、悪口を言っていることでしょう。この悪口は、プラスのエネルギーを発することはありません。むしろ、マイナスの効果のほうが高いです。先の、3つの毒も同じことです。ねたみ、怒り、愚痴は、プラスの効果をもたらしません。
とはいえ、他人よりも優れていたいという欲望があるでしょうし、スゴイと認められたいと思うものです。さらには、今以上に裕福になりたいと思う人も多いでしょう。ですから、ねたみ、怒り、愚痴、悪口が現れてくるのです。ここに、人間の弱さがあります。
では、この毒を排除するにはどうしたらいいでしょう。一番いいのは、「ねたまない、怒らない、愚痴らない、悪口をいわないと決める」ことです。しかし、なかなかそうはうまく行きません。ついつい、ねたみ、怒り、愚痴、悪口が口をついて出てきます。口に出なくても、頭に浮かんできてしまいます。どうしたら良いでしょう。それは、ねたみ、怒り、愚痴、悪口が頭に浮かんできたら、出来るだけ早く消すことです。そして、口に出てしまったら、すぐに忘れるように努力します。それらの思いや言葉を引きずらないことです。これは、心がけ次第で出来るのではないでしょうか。
そして、もっと良い方法があります。それは、4つの毒ではなく、4つの薬を使うことです。4つの薬とは「ほめる、感謝する、喜ぶ、認める」です。例えば「あの店の戦略は素晴らしい」「お客様のご指摘はありがたい」「元気な社員のおかげだ」「この商品の機能は最高だ」。このような言葉を、たくさん発していれば、4つの毒も薄まっていきます。ついには、なくなってしまうかもしれません。これなら出来そうです。ぜひ4つの薬で繁盛していきましょう。